土壌汚染対策法の制定に至る経緯

日本では,土壌汚染一般に関する包括的な法律は,なかなか制定されることがありませんでした。 土壌汚染対策法が成立したのは,2002年5月22日でした。そして,同法が施行されたのは,2003年2月15日になってからでした。この法律ができるまでの簡単な経緯は次…

豊島(てしま)事件

豊島事件は,豊島総合観光開発(株)(以下「豊島開発」)が大量の産業廃棄物を不法に投棄したり野焼きしたりした,戦後最大の環境破壊事件です。 昭和50年代後半から平成2年ころまでにかけて,大量の産業廃棄物(シュレッダーダスト,廃油,廃プラスティック…

農用地の土壌の汚染防止等に関する法律

農用地の土壌の汚染防止等に関する法律は,1970年に制定された法律です。 神通川流域のイタイイタイ病がきっかけとなって制定されました。同法律は,農用地におけるカドミウム,銅及び砒素などの特定有害物質が一定基準を超える場合に,都道府県知事によって…

ストックホルム条約 その5(人間環境宣言)

ストックホルム条約の3つめの成果は,人間環境宣言(ストックホルム宣言)です。人間環境宣言は,リオ宣言と同じく,拘束力はないものの,重要なソフトローです。 国内法及び国際法の両者の発展において大きな影響を与えました。 実際,その言葉自体は使用し…

土壌汚染対策法1 (概略)

土壌汚染対策に関する法律には, ・農用地の土壌の汚染防止等に関する法律 ・土壌汚染対策法 の二つがあります。【農用地の土壌の汚染防止等に関する法律】 足尾鉱毒事件やイタイイタイ病に端を発し,1970年に公害対策基本法が改正された際に,公害類型に土…

ストックホルム条約 その4(UNEP)

ストックホルム条約の二つめの成果は, THE UNITED NATIONS ENVIRONMENT PROGRAMME (UNEP) です。行動計画は,ストックホルムで創設されたUNEPの議題を形成することにも寄与しました。 UNEPは,今もなお環境問題に関する概括的な権威を持つ,国連の重要な機…

ストックホルム条約 その3(環境国際行動計画・The Stockholm Action Plan)

ストックホルム会議で決まった3つ(環境国際行動計画,UNEP,人間環境宣言)の一つである環境国際行動計画は,次のような内容でした。1 環境国際行動計画 環境国際行動計画は,国際的な行動を必要とする環境問題が何か,を網羅的に特定する試みでした。 次…

ストックホルム条約 その2

ストックホルム会議は,そのころまでに開催された国連会議の中でももっとも成功した会議の一つでした。113カ国が出席しましたが,冷戦のまっただ中に開催されましたので,東西の政策が影響を及ぼしました。 ソ連とその他のソ連圏の国々は,最終的には会議の…

ストックホルム条約

国連総会は,ストックホルム会議の主目的を次のように位置づけました。政府や,国際間の協力による人間環境の保護と向上,環境被害の修復と予防をするために作られた国際機関によって,ガイドラインを作って浸透させるための実用的な方法を提供すること。そ…

ストックホルム条約への道のり

環境に関する条約は,実は,結構古くからあります。 例えば,オットセイの保護に関する条約は1911年7月7日に日本とその他の諸国との間で締結されています。 また,流水権に関する1929年の条約もあります。 産業の発展に伴い,国境を越えた公害の問題が発生し…

企業環境法とは

環境法とは,環境への負荷を防止・低減することを目的とする法(法令,条例,条約等)の総体をいう,と定義づけられています(大塚直『環境法(第3版)』有斐閣32頁)。 つまり,「環境法」という名前の法律そのものがあるわけではなく,環境に関係する様…